開催日時

2020年11月27日(金)10:30~17:30(聴講者入室:10:00~)

形態

Zoomを用いたWEBセミナー(Zoomウェビナー)
注)本セミナーでは録音・録画、PC画面の撮影、また配布しますセミナーテキストの複製・第三者への提供などの行為一切を固く禁じます。


プログラム

10:30~11:00

光・レーザーによる事故と事件

橋新 裕一 氏(近畿大学)

近年,各種レーザー応用製品が登場し,一般消費者向けの製品も増えてきている。保険収載されるレーザー治療も多くなってきている。レーザーの普及に伴い,レーザーによる事故・事件も多くなってきた。これまでは製造会社,研究機関,教育機関などのレーザー取扱者が被害を受ける事故であったが,最近では一般消費者をも巻き込んだ事故や事件が発生している。1mW程度の赤色レーザーポインターによる事故は2000年頃から散見され,スポーツ観戦者が選手にレーザー照射する事件が報道されるようになった。2014年頃には100mWを超える緑色あるいは青色の高出力レーザーポインターを用いて,飛行機,ヘリ,新幹線,バス等の操縦席を狙った事件の報道が相次ぐようになった。
これらの事故・事件の詳細,レーザー学会が行ったアンケート調査結果,講演者が体験した事故・ヒヤリハットについて平易に解説する。

 
11:00~11:30

事故発生時と事後の対応と賠償責任保険

橋新 裕一 氏(近畿大学)

事業者は、労働災害等により労働者が死亡または休業した場合には、遅滞なく、労働者死傷病報告等を労働基準監督署長に提出する義務があることは周知のことである。労働災害発生時の対応については、各事業所でそのマニュアルが策定されており、順守されていることと思う。
レーザーによる事故は目の損傷、あるいは皮膚の損傷、あるいは器物破損である。目の損傷に対する応急処置はない。皮膚の損傷は多くの場合、熱傷であるから通常の熱傷に対する応急処置で良い。
 事故が発生したら、
① 事故を率直に報告できる雰囲気づくり、
② 情報共有化の構築、
③ 定期的・継続的な安全活動の推進、
これらが遂行できる安全文化の育成が重要である。
 レーザーの事故に関わらず、事故発生時と事後の対応について、事例を紹介して考えてみたい。事故に関連する保険、とくに賠償責任保険について紹介し、被害者・加害者の上司の立場で、その対応を考えてみたい。

11:30~12:00

レーザーの性質、レーザー装置の仕組み

近江 雅人 氏(大阪大学)

光は太陽光やろうそくの光といった自然の光から、蛍光灯や電球などの電灯照明、さらにはコンサートやイベントで使われるレーザーなど、我々の生活には欠かせないものである。この中でもレーザーはCDプレーヤーやバーコードの読み取りなど、様々なユーザーサイドで使用されている。そこで、レーザーと普通の光とでは何が違うのかについて述べる。まず、レーザーからは指向性が高い光ビームが発せられ、ほとんど広がることなく直進する。これに対して、普通の光源からは四方八方に広がる光が発せられる。このような光をレンズで集光すると、レーザーは指向性がよいために波長程度の極めて小さいスポットまで集光できるが、普通の光は広がっているためにレンズで集光してもたかだか数ミリ程度の縮小像ができるにすぎない。次に、レーザーは単一の色で発光するが(単色性)、普通の光はいくつかの色が混ざったもので、蛍光灯のように白く見える。さらに、レーザーは光の波同士の山と山の並びが時間的にも空間的にきれいに揃っている。このようなレーザー同士を重ね合わせると、山と山・谷と谷が強め合って干渉縞が現れる。これを可干渉性という。加えて、レーザーの出力が非常に大きいことも特徴である。パルス動作ならTW(1012W)のピーク出力や連続発振では数百kWの出力が得られる。このような高出力のレーザーを集光すると、金属板に穴を開けたり切削することができる。
 上記のレーザーの性質と特徴を用いて様々な応用がなされている。レーザーの性質を用いたものとして、バーコードリーダー、CDなどの記憶媒体への書き込み、レーザー照準器などの土木測量、レーザーレーダーという大気中の粒子測定などに利用されている。レーザーをエネルギーとして利用したものには、レーザー加工、レーザー溶接などがある。レーザーは医療分野にも積極的に利用されている。レーザーメス、レーザー凝固装置、皮膚科・形成外科におけるあざ治療、さらに内視鏡にレーザーを導光して様々な治療に利用されている。

12:00~13:00

休憩・昼食

13:00~13:30

目に与える光・レーザーの影響と眼傷害事例

中西 孝子 氏(昭和大学)

 ヒトの視覚情報認知では、まず視界全体で漠然と対象を感じ、次いで中心で詳細に見極めるという特徴がある。解剖学的には視界が網膜全体に上下左右逆に投影され、その中で網膜中心窩に視線の先にある対象が結像されている。詳細に見極めるという点を視力で表現すれば、周辺網膜では 0.1以下で、中心窩では、1.0 である。視界全体のどこかで何か光るものを感じると、無意識に、これは何だ?と、つい中心窩で詳細に見極めようとする。これがレーザーを直視することになり、結果として網膜中心部に重篤な障害を起こしてしまう。網膜の直径は約40 mmあるのに対して、“よりによって”直径わずか0.35 mmの中心窩に障害を受けるのは、ヒトのこのような視覚情報認知の特性によるためであろう。レーザーの性質を熟知している研究者でも、つい、うっかり光路調整中などにビームをのぞき込んでしまうようである。このように、レーザーによる網膜障害を予防するためには眼の構造、視覚機能を理解する必要がある。今回の講演では、以下の項目について解説する。
1)眼の構造と視覚
2)可視光またはレーザーによる眼の傷害事例:日光網膜症,ブルーライトハザード,Nd:YAGレーザー,アルゴンレーザー,レーザーポインター,コスメティックレーザー

13:30~14:00

皮膚に与える光・レーザーの影響と皮膚傷害事例

河野 太郎 氏(東海大学)

・皮膚障害事例供覧
・皮膚の治癒とは
・熱緩和時間とは
・皮膚の冷却の有用性
・パルス幅と生体作用
・フラクショナル治療について

14:00~14:30

光・レーザー用保護めがねと防護シールド

石場 義久 氏(山本光学(株))

高出力のレーザー放射を直接受けた場合、身体はダメージを受け、大きな災害につながる。また、被害が目に及ぶ場合は、永続的な視力障害などに悩まされることもある。これらを背景にして、JISC6802「レーザ製品の安全基準」の規格の制定が行われた。近年ではレーザーの利用分野の拡大に伴い、知識と操作に未熟な者もレーザー機器に接する機会が増えてきている。JIS規格では主に装置のクラス分けに重点が置かれた内容になっているが、本文附属書では使用者への指針も明らかにされている。また、労働者を対象にして、厚生労働省からは基発第0325002号「レーザー光線による障害の防止対策について」が通達され、これを参考として、一般事業所などでは教育を含めた安全管理の整備も継続して行われている。リスクに対しては作業中止、また、工学的対策、次いで管理的対策などが求められるが、それらで十分ではない場合には個人用の保護具の使用が必要になる。使用者はレーザーの一般的な性質と使用するレーザーの現場におけるリスクを十分に理解したうえでリスク予防措置(安全対策)を実施しなければならないが、その中で工学的対策に適用されるレーザー防護シールド及び、最終的なリスク予防措置(安全対策)として適用される個人用保護具の概要について、保護具を作る立場からこれらを解説する。

14:30~15:00

レーザー安全基準

松元 尚己 氏((一財)日本品質保証機構)

レーザー製品の安全基準として国内規格JIS C 6802(国際規格IEC60825-1)が規定されています。この規格は波長180nm~1mmのレーザーを放射する製品の安全基準について規定しています。
要求事項としては、レーザー製品をクラス分けの規則に基づいて製品からの被ばく放出レベルをクラス1~クラス4まで8種のいずれかのクラスに分類すること、レーザー製品は分類された各レーザークラスに応じた保護きょう体、セーフティインタロックなどの技術的な要求事項を満たすこと、などがあります。また、使用者及びサービス実施者への安全確保/注意喚起として、製品のクラスや構造に則した各種ラベルを貼り付けること、使用者及びサービス実施者が安全に使用及びサービスを実施できるように必要な情報(ユーザーマニュアル、サービスマニュアル)を提供すること、などが要求されます。
本講演ではレーザー安全基準と題して、2014年9月に発行されたJIS C 6802:2014(最新版)に規定されている、これらの要求事項についての概要を解説します。

 
15:00~15:15

休憩

 
15:15~15:45

光・レーザー安全対策の基礎

間 久直 氏(大阪大学)

安全対策は使用するレーザーのクラスや種類によって異なるが、最も危険性が高いクラス4のレーザーに対する代表的なレーザー安全対策を以下に挙げる。
(1) レーザー光を透過しない壁やカーテンで囲まれた管理区域を設け、出入口には関係者以外に対する警告表示を行い、関係者以外の者がレーザー光にさらされないようにする。
(2) 使用するレーザーの波長で十分な光学濃度を持った保護めがねを着用し、保護めがねを着用していてもビームを直接見ることは厳禁である。
(3) 反射、散乱光も目に入らないように注意し、腕時計、指輪など光を反射しそうなものは外す。可能な限り明るい環境で作業し、視線とビームの高さが一致しないようにする。
(4) レーザーの光路およびその延長上には立たないようにする。光路の延長上では何かの拍子にミラー等がずれたり倒れたりすると、自分にレーザー光が当たる恐れがある。
(5) レーザービームの終端は拡散反射体または吸収体(パワーメータなど)で遮蔽する。
(6) レーザーの調整や、光路の調整を行う場合には、レーザーの出力やパルスの繰り返しを可能な限り低くして行う。
(7) レーザービームに直接皮膚をさらさないようにする。衣服は皮膚の露出の少ない難燃性の素材のものが良い。
(8) 半導体レーザーを除くほとんどのレーザーでは内部に高圧電源があり感電の危険性が高いので、筐体を開ける作業は教員や管理責任者の立ち合いのもとでのみ行う。
(9) レーザー照射で発生する、またはレーザーで使用している有害物質にも注意を払う。

 
15:45~16:15

光・レーザー安全対策の実際(一般消費者)

橋新 裕一 氏(近畿大学)

近年,各種レーザー応用製品が登場し,一般消費者向けの製品も増えてきている。保険収載されるレーザー治療も多くなってきており、その恩恵に浴する患者も増えてきている。レーザーの普及に伴い,一般消費者をも巻き込んだ事故や事件が発生している。本邦では販売が禁止されている100mWを超える緑色あるいは青色の高出力レーザーポインターを用いて,ヘリ,バス等の操縦席を狙った事件で逮捕されるケースも発生している。レーザー脱毛器などを購入し、自身で脱毛を行い、熱傷を被った事例もある。医師免許を持たない職員による、レーザーあるいは光による脱毛治療で熱傷被害に遭ったケースも散見される。
一般消費者が事故や事件に遭遇せず、レーザー製品の安全な使用方法や注意事項を学んで、安心して使って頂けるよう、平易に解説する。

 
16:15~17:00

光・レーザー安全対策の実際(産業分野と研究機関)

若木 守明 氏(東海大学 名誉教授)

レーザーの利用はその高効率な光源としての特徴を反映して産業機器に限らず,一般にも急速に広がっている.レーザーの種類も発振波長,出力形態(CW, パルス)等多岐に渡っている.これらレーザーの応用分野の拡大に応じて,企業の技術者,研究・教育機関での研究者並びに学生,更に一般市民に対してレーザーを取り扱う上での何らかの教育が必要となっている.
 本講演では,主にレーザーを安全に取り扱うためのハード面と,レーザーの特徴を理解し、それに対する教育を踏まえたソフト面での対策の現状を、レーザー加工機メーカー、レーザー発振器製造メーカー、レーザー取扱商社、大学等の研究・教育機関での例を紹介し,安全向上に対するアイデアを提供することを目的とする.
以下に本セミナーの概要を示す.
1. レーザー応用の展開
2. レーザー出力のクラス分けと安全対策
3. 安全管理システムの構築
4. 各利用現場に於ける安全管理の例
 1) レーザー加工機メーカー
 2) レーザー発振器製造メーカー
 3) レーザー取扱商社(サービス等)
 4) 大学等の研究・教育機関
5. 安全対策のまとめ
6. 安全教育
7. おわりに

 
17:00~17:10

休憩

 
17:10~17:30

習熟度確認試験(10問)

 
  ※すべてのセミナーおよび習熟度確認試験を受講して頂いた方には、レーザー学会より受講証が発行されます。

受講料・申込方法ほか

受講料 レーザー学会会員:25,000円(税込)
非会員:35,000円(税込)
学生:10,000円(税込)
※11月26日(木)までにお支払い下さい。
【複数名でお申込みの場合】
備考欄に、部署、氏名、E-mailアドレス、また講演資料の送付先が申込代表者の方と異なる場合は、送付先住所およびTELを合わせてご記入ください。
講演資料 予稿集を事前に郵送させていただきます。
申込時にご住所の明記をお願い致します。
申込締切 11月16日(月)
事務局 (一社)レーザー学会
(株)オプトロニクス社


※セミナーの参加受付は終了いたしました。