開催日時

2021年12月3日(金)10:30~17:15(聴講者入室:10:15~)

形態

Zoomを用いたWEBセミナー(Zoomウェビナー)
注)本セミナーでは録音・録画、PC画面の撮影、また配布しますセミナーテキストの複製・第三者への提供などの行為一切を固く禁じます。


プログラム

10:30~11:00

光・レーザーによる事故と事件

橋新 裕一 氏(近畿大学)

 近年,各種レーザー応用製品が登場し,一般消費者向けの製品も増えてきている。保険収載されるレーザー治療も多くなってきている。レーザーの普及に伴い,レーザーによる事故・事件も多くなってきた。これまでは製造会社,研究機関,教育機関などのレーザー取扱者が被害を受ける事故であったが,最近では一般消費者をも巻き込んだ事故や事件が発生している。1mW程度の赤色レーザーポインターによる事故は2000年頃から散見され,スポーツ観戦者が選手にレーザー照射する事件が報道されるようになった。2014年頃には100mWを超える緑色あるいは青色の高出力レーザーポインターを用いて,飛行機,ヘリ,新幹線,バス等の操縦席を狙った事件の報道が相次ぐようになり、2021年現在でも逮捕・送検される事例がある。
 これらの事故・事件の詳細,厚生労働省の公開資料、レーザー学会が行ったアンケート調査結果,講演者が体験した事故・ヒヤリハットについて平易に解説する。

 
11:00~11:30

事故発生時と事後の対応と賠償責任保険

橋新 裕一 氏(近畿大学)

 事業者は、労働災害等により労働者が死亡または休業した場合には、遅滞なく、労働者死傷病報告等を労働基準監督署長に提出する義務があることは周知のことである。労働災害発生時の対応については、各事業所でそのマニュアルが策定されており、順守されていることと思う。
 レーザーによる事故は目の損傷、あるいは皮膚の損傷、あるいは器物破損である。目の損傷に対する応急処置はない。皮膚の損傷は多くの場合、熱傷であるから通常の熱傷に対する応急処置で良い。
 事故が発生したら、
① 事故を率直に報告できる雰囲気づくり、
② 情報共有化の構築、
③ 定期的・継続的な安全活動の推進、
これらが遂行できる安全文化の育成が重要である。
 レーザーの事故に関わらず、事故発生時と事後の対応について、事例を紹介して考えてみたい。事故に関連する保険、とくに賠償責任保険について紹介し、被害者・加害者の上司の立場で、その対応を考えてみたい。

11:30~12:00

レーザーの性質、レーザー装置の仕組み

近江 雅人 氏(大阪大学)

 光は太陽光やろうそくの光といった自然の光から、蛍光灯や電球などの電灯照明、さらにはコンサートやイベントで使われるレーザーなど、我々の生活には欠かせないものである。この中でもレーザーはCDプレーヤーやバーコードの読み取りなど、様々なユーザーサイドで使用されている。そこで、レーザーと普通の光とでは何が違うのかについて述べる。まず、レーザーからは指向性が高い光ビームが発せられ、ほとんど広がることなく直進する。これに対して、普通の光源からは四方八方に広がる光が発せられる。このような光をレンズで集光すると、レーザーは指向性がよいために波長程度の極めて小さいスポットまで集光できるが、普通の光は広がっているためにレンズで集光してもたかだか数mm程度の縮小像ができるにすぎない。次に、レーザーは単一の色で発光するが(単色性)、普通の光はいくつかの色が混ざったもので、蛍光灯のように白く見える。さらに、レーザーは光の波同士の山と山の並びが時間的にも空間的にきれいに揃っている。このようなレーザー同士を重ね合わせると、山と山・谷と谷が強め合って干渉縞が現れる。これを可干渉性という。さらに、レーザーの出力が非常に大きいことも特徴である。パルス動作ならTW(1012W)のピーク出力や連続発振では数百kWの出力が得られている。このような高出力のレーザーを集光すると、金属板に穴を開けたり切削することができる。
 上記のレーザーの性質と特徴を用いて様々な応用がなされている。レーザーの性質を用いたものとして、バーコードリーダー、CDなどの記憶媒体への書き込み、レーザー照準器などの土木測量、レーザーレーダーという大気中の粒子測定などに利用されている。レーザーをエネルギーとして利用したものには、レーザー加工、レーザー溶接などがある。レーザーは医療分野にも積極的に利用されている。レーザーメス、レーザー凝固装置、皮膚科・形成外科におけるあざ治療、さらに内視鏡にレーザーを導光して様々な治療に利用されている。

12:00~13:00

休憩・昼食

13:00~13:30

目に与える光・レーザーの影響と眼傷害事例

中西 孝子 氏(昭和大学)

 ヒトの視覚情報認知では、まず視界全体で漠然と対象を感じ、次いで中心で詳細に見極めるという特徴がある。解剖学的には視界が網膜全体に上下左右逆に投影され、その中で網膜中心窩に視線の先にある対象が結像されている。詳細に見極めるという点を視力で表現すれば、周辺網膜では 0.1以下で、中心窩では、1.0 である。視界全体のどこかで何か光るものを感じると、無意識に、これは何だ?と、つい中心窩で詳細に見極めようとする。これがレーザーを直視することになり、結果として網膜中心部に重篤な障害を起こしてしまう。網膜の直径は約40 mmあるのに対して、“よりによって” 直径わずか0.35 mmの中心窩に障害を受けるのは、ヒトのこのような視覚情報認知の特性によるためであろう。レーザーの性質を熟知している研究者でも、つい、うっかり光路調整中などにビームをのぞき込んでしまうようである。このように、レーザーによる網膜障害を予防するためには眼の構造、視覚機能を理解する必要がある。
 今回の講演では、目の構造と視覚、可視光またはレーザーによる眼の傷害事例について解説する。

13:30~14:00

皮膚に与える光・レーザーの影響と皮膚傷害事例

河野 太郎 氏(東海大学)

 本講演ではまず、皮膚の構造と創傷治癒について解説する。次にレーザーの生体作用と熱緩和時間について説明する。レーザーの生体作用を大きく分けると光熱作用、光機械的作用、光化学作用次の3種類に分けられ、皮膚レーザー治療の中心的働きである、光熱作用と光機械的作用について、説明する。標的とその周囲の温度分布は、標的の直径と組織拡散性で決まるガウシアン分布となる。中心温度が50%に減衰の時間を熱緩和時間という。この熱緩和時間以下の照射時間で、レーザーを照射することで、周囲組織が熱損傷が伝わる前に、標的の不可逆性の熱変性が生ずる熱緩和時間を考慮することで、瘢痕のない治療が可能となる。我々、日本人は西洋人と比較して、皮膚色が濃いため、レーザーが皮膚表面のメラニンに吸収され合併症が出やすい。合併症例を減らすためには、皮膚の冷却が有用である。また、照射方法を変更することで、生体作用が異なる。微細なレーザーを1平方センチメートルあたり数百から数千発の照射を行うフラクショナルレーザー照射法は毛根よりも細い照射口径で間隔をあけて正常皮膚を残しつつ点状に照射する方法である。従来の面状照射する方法に比べて剥皮されない分、上皮化が早く、炎症後の色素沈着等の合併症がすくない。皮膚のレーザーの生体作用は多くの点で、無生物への作用とことなる。低侵襲に治療をすることは可能であるが、これを無視すると熱傷となり時に瘢痕を形成する。最後に、皮膚障害事例を供覧し、その事故の背景を検討する。

14:00~14:30

光・レーザー用保護めがねと防護シールド

石場 義久 氏(山本光学(株))

 高出力のレーザー放射を直接受けた場合、身体はダメージを受け、大きな災害につながる。また、傷害が目に及ぶ場合は、永続的な機能障害に悩まされることとなる。レーザーの利用分野の拡大に伴い、知識と操作に未熟な者もレーザー機器に接する機会が増えてきている。これらを背景にして、JISC6802「レーザー製品の安全基準」の規格改正や、厚生労働省が基発第0325002号「レーザー光線による障害の防止対策について」を通達するなど安全規格の整備も進みつつある。しかし、これらの規格は主に装置側から見た安全に重点が置かれており、レーザー機器を取り扱う者の保護対策に関しては、必ずしも十分に施されているとは言えない。レーザーの性質と深く関係する事故を未然に防ぐ効果的な予防措置(安全対策)とは、どのようなものか、その安全対策の考え方と保護めがねの重要性について、保護具を作る立場からこれらを解説する。

14:30~15:00

レーザー安全基準

鷲尾 邦彦 氏(パラダイムレーザーリサーチ)

 レーザーに関する各種の安全基準は、レーザー光の人体に及ぼす作用の生物物理学的知見や、レーザー光による障害事例、及び動物実験などを基にして得られた最大許容露光量MPE (Maximum Permissible Exposure)がベースとなっている。MPEは、目の角膜や皮膚などについてそれぞれ定められており、それらの値は波長、露光時間、光源の視角などの複雑な関数として表にまとめられている。
ここでは、レーザー安全の考え方及びレーザー安全に関する国際規格群及び国内規格等のリストを簡単に紹介した後、国内規格「レーザ製品の安全基準JIS C6802: 2014 (国際規格IEC 60825-1:2014)」の要求事項について主に解説する。
 レーザー製品には、一部のクラスを除き、各クラスに被ばく放出限界AEL (Accessible Emission Limit)が定められている。
 要求事項には、レーザー製品のクラス分けの原則に基づいてレーザー製品の被ばく放出レベルを決定しクラス1~クラス4までの8種のいずれかのクラスに分類すること、レーザー製品は各レーザークラスに応じた保護きょう体、セーフティインタロックなどの技術的要求事項を満たすこと、使用者及びサービス実施者への安全確保/注意喚起として、レーザー製品に各クラスの要求事項に従った各種ラベルを付けること、などが含まれている。
 レーザーの安全基準は、レーザー技術の進歩やレーザー光の人体に及ぼす作用の生物物理学的知見の進展などによって、絶えず改訂されているので、常に最新動向を注視しておくべきである。

 
15:00~15:15

休憩

 
15:15~15:45

光・レーザー安全対策の基礎

間 久直 氏(大阪大学)

 安全対策は使用するレーザーのクラスや種類によって異なるが、最も危険性が高いクラス4のレーザーに対する代表的なレーザー安全対策を以下に挙げる。
(1) レーザー光を透過しない壁やカーテンで囲まれた管理区域を設け、出入口には関係者以外に対する警告表示を行い、関係者以外の者がレーザー光にさらされないようにする。
(2) 使用するレーザーの波長で十分な光学濃度を持った保護めがねを着用し、保護めがねを着用していてもビームを直接見ることは厳禁である。
(3) 反射、散乱光も目に入らないように注意し、腕時計、指輪など光を反射しそうなものは外す。可能な限り明るい環境で作業し、視線とビームの高さが一致しないようにする。
(4) レーザーの光路およびその延長上には立たないようにする。光路の延長上では何かの拍子にミラー等がずれたり倒れたりすると、自分にレーザー光が当たる恐れがある。
(5) レーザービームの終端は拡散反射体または吸収体(パワーメータなど)で遮蔽する。
(6) レーザーの調整や、光路の調整を行う場合には、レーザーの出力やパルスの繰り返しを可能な限り低くして行う。
(7) レーザービームに直接皮膚をさらさないようにする。衣服は皮膚の露出の少ない難燃性の素材のものが良い。
(8) 半導体レーザーを除くほとんどのレーザーでは内部に高圧電源があり感電の危険性が高いので、筐体を開ける作業は教員や管理責任者の立ち合いのもとでのみ行う。
(9) レーザー照射で発生する、またはレーザーで使用している有害物質にも注意を払う。

 
15:45~16:15

光・レーザー安全対策の実際(一般消費者)

橋新 裕一 氏(近畿大学)

 近年,各種レーザー応用製品が登場し,一般消費者向けの製品も増えてきている。保険収載されるレーザー治療も多くなってきており、その恩恵に浴する患者も増えてきている。レーザーの普及に伴い,一般消費者をも巻き込んだ事故や事件が発生している。本邦では販売が禁止されている100mWを超える緑色あるいは青色の高出力レーザーポインターを用いて,ヘリ,バス等の操縦席を狙った事件で逮捕される事例も発生している。レーザー脱毛器などを購入し、自身で脱毛を行い、熱傷を被った事例もある。医師免許を持たない職員による、レーザーあるいは光による脱毛治療で熱傷被害に遭ったケースも散見される。国民生活センターの公開資料についても紹介する。
一般消費者が事故や事件に遭遇せず、レーザー製品の安全な使用方法や注意事項を学んで、安心して使って頂けるよう、平易に解説する。

 
16:15~16:45

光・レーザー安全対策の実際(産業分野と教育・研究機関)

若木 守明 氏(東海大学 名誉教授)

 レーザーの利用はその高効率な光源としての特徴を反映して産業機器に限らず,一般にも急速に広がっている.レーザーの種類も発振波長,出力形態(CW, パルス)等多岐に渡っている.これらレーザーの応用分野の拡大に応じて,企業の技術者,研究・教育機関での研究者並びに学生,更に一般市民に対してレーザーを取り扱う上での何らかの教育が必要となっている。
 本講演では,主にレーザーを安全に取り扱うためのハード面と,レーザーの特徴を理解し、それに対する教育を踏まえたソフト面での対策の現状を、レーザー加工機メーカー、レーザー発振器製造メーカー、レーザー取扱商社、大学等の研究・教育機関での例を紹介し,安全向上に対するアイデアを提供することを目的とする。
以下に本セミナーの概要を示す。
1. レーザー応用の展開
2. 各利用現場に於ける安全管理の例
 1) レーザー加工機メーカー
 2) レーザー発振器製造メーカー
 3) レーザー取扱商社(サービス等)
 4) 大学等の研究・教育機関
3. 安全対策のまとめ
4. 安全教育
5. おわりに

 
16:45~16:55

休憩

 
16:55~17:15

習熟度確認試験(10問)

 
  ※すべてのセミナーおよび習熟度確認試験を受講して頂いた方には、レーザー学会より受講証が発行されます。

参加方法 他

参加方法 12月1日(水)にZOOM招待メールをお送りいたします。
接続テスト 12月2日(木)13:00~13:20
接続確認が終了いたしましたら退出をしていただき、当日の10:15になりましたら同様の手順によりご入室ください。
講演資料 予稿集を事前に郵送させていただきます。
申込時にご住所の明記をお願い致します。


受講料・申込方法 他

受講料 レーザー学会会員:25,000円(税込)
非会員:35,000円(税込)
学生:10,000円(税込)
【複数名でお申込みの場合】
備考欄に、部署、氏名、E-mailアドレス、また講演資料の送付先が申込代表者の方と異なる場合は、送付先住所およびTELを合わせてご記入ください。
申込方法 下部にあります、お申込みフォームよりお申込み下さい。
受付が完了しましたら自動返信メールが届きますので内容をご確認ください。
支払方法 自動返信メールに決済用URLを記載しております。
お支払いは12月2日(木)までにお願いいたします。

領収書発行 決済が完了次第領収書(PDF)がメールにて送付されます。
※領収書の宛名は申込フォームの「会社名・団体名」がそのまま反映されます。
申込締切 11月22日(月)
キャンセル規定 お客様のご都合による受講解約の場合は下記のとおり解約金として申し受けます。
11月30日(火)までは受講料の50%、12月1日(木)以降につきましては受講料の全額。
事務局 (一社)レーザー学会
(株)オプトロニクス社

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